その翌日。
「おいハボック」
「なんスか」
「私とじゃんけんしろ」
「ハァ?何をいきなり・・・・・・」
「いくぞ、じゃーんけーん・・・・・・」
「ブレダ!」
「あぁ大佐、どうもです」
「じゃんけんするぞ」
「何を藪からぼうに・・・・・・」
「いいから!じゃーんけーん・・・・・・」
「ファルマン!!」
「おや大佐、息を切らせてどうかなさいましたか」
「わ、私と・・・、じゃ・・・けんを・・・・・・」
「ふむ。じゃんけんとは、二人以上の人が片手で石(ぐう)・はさみ(ちょき)・紙(ぱあ)の形をつくり、どの形を出したかで勝負を決めること。また、その遊び。石ははさみに、はさみは紙に、紙は石に勝つ」
「そんなことはわかってるんだ!!いいからいくぞッ。じゃーんけーーん・・・・・・」
「フュリー!ここにいたのか!!」
「あ、お探しでしたか大佐。も、申し訳ありま・・・・・・」
「じゃんけんだ!」
「え?えぇ??」
「じゃーんけーーーん・・・・・・」
・・・・・・その日以来、ロイは二度とじゃんけんをしようとはしなかった。もしうっかり彼の前でじゃんけんという言葉を出そうものならその人間は瞬く間にちりちり真っ黒なアフロヘアへと髪型を強制的に替えられ、軍での出世の道は閉ざされたという。
そしてロイが大総統になって以後、軍紀に『じゃんけんは何があっても絶対禁止』の項目が付け加えられ・・・・・・るかどうかはまだまだ先の話である。